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フロント変速周りのカスタマイズ

フロントを変速するとリア変速の4段分程度ギア比が変わります。フロントをインナーからアウターに変速すると同時にリアを3段登り(小さいギアから大きいギアへチェーンが登る)変速するとトータルで約1段分上がることになるわけです。ShimanoやSramのリアシフターは登りは1ストローク3段で良いのですが、下りは1段なのでカチ・カチ・カチと連続変速する必要が有ります。Campagnolo Ultra Shiftは登り5段、下り3段ですから上下とも1ストロークで対応することができます。機能上はCampagnoloが優位ですが、実操作上は好みの問題レベルになります。
フロントディレーラーの取付には取付台座とシフトケーブルのガイドが必要になりますが、一般的には取付台座にケーブルガイドがついています。機種によっては純正の取付パーツが用意されていますが、オリジナルで30速あるVerge X30hは取付が想定されていませんので、サードパーティー製のフロントディレーラー取付台座が必要になります。
フロントディレーラー台座の選定にはシートチューブの直径とチェーンリングとの位置関係の確認が必須ですが、後者は現物合わせ以外に方法は有りません。フロントディレーラーの取付位置は少なくともケーブルでアームを引かない状態でインナーリングに変速することが必要です。折畳自転車ではシートチューブ径が太い分フロントディレーラーの取付位置が外側に出てしまいますので、ボトムブラケットにスペーサーを入れてインナーリングを外に出す方法が採用されています。カスタマイズでロードバイク用クランクを使用する場合はスペーサー挿入はほぼ困難なので、ボトムブラケットを削ってしまうショップもあります。その他、トリプル用クランクの外側2枚を使用する場合もありますが、ロード用の現行品は限られます。
上記の条件を考慮してクランクを選定します。Verge X66dではCampagnolo Super Recordクランクを使用した時に台座を削って調整しましたので、FC-9000でも取付には問題ありません。この場合、クランク側のチェーンラインは43.5mmに対し、Sram Dual Driveのチェーンラインは10速カセット取付時に45mmです。11速カセットからギアを1枚抜いてスペーサーを入れて10速にして使用する場合45㎜より大きく、Tokenの10速カセット用11速スプロケットを使用する場合45㎜より小さくなりますが、チェーンラインは合いません。
Verge X30hのフレームはリアセンターが400mmと短めなので、チェーンの振れ角も大きくなります。効率や耐久性以外に実走上の問題として、アウター・ローでクランクを逆転させるとチェーンがローギアから小さいギアに落ちかかることが有ります。つまり、6時の位置で停止して発進するためにクランクを3時の位置に戻した時にギアが落ちかかり、スタートでトルクを掛けた時にガチャガチャと登り変速することになります。トルクが掛った状態の登り変速は変速が遅いので、発進の低速時、ペダルクリートの固定に意識が向いてしまい、変速不良で失速する危険があります。インナートップの場合はクランクを逆転しても登り側には外れかかることはないので、チェーンリング側のチェーンラインが小さいほうが実走では問題が少ないと判断しています。
チェーンリングはFC-9000では52×36Tを使用しましたが、FD-7900との組合せでフレームとの隙間は5mm程度です。チェーンのコマ間が12.7mmですから53Tになると2mmほど狭くなる計算です。FD-7900を使用する場合は53Tが限度と考えたほうが良さそうです。Verge X20では55Tを採用しているようですが、Photoshopで比較するとフレームの弓形形状が違い余裕を取っているように見えます。
チェーンは使用するコンポに合わせるのが基本です。Campagnoloのチェーンは内寸が狭いので、Shimano/Sram互換のサードパーティー製チェーンリングにCampagnoloのチェーンを使用して抵抗を感じたことが有りました。現在使用しているCampagnolo Super Recordクランク50×34Tでは、スプロケットがShimano互換ですからDura-Aceチェーンを使用しています。耐久性の懸念はあると思いますが、問題なく使用しています。
シフトレバーはフロントの場合は引くことはできると思いますが、現物確認になります。フロントディレーラーのアームを引くケーブルの角度によっては重くなったり、引ききれないことが有ります。Verge X66dでは台座を削ったためにケーブルガイドとアームの位置関係が変わり、引きが重かったため、台座をもう一つ取付てケーブルガイド位置を調整できるようにしています。もうひとつ、レバーではトリム操作機能の有無の確認が必要になります。Shimano、Campagnoloはトリム有、Sramはトリム無しです。Shimano、CampagnoloのフロントディレーラーにSramのレバーを組合わせると、トップやローギアにおけるチェーンの鳴りをトリム操作で解消できません。

説明が長くなったのはフロントディレーラー追加のカスタマイズは制約が多いということです。トリプルクランクで妥協する場合は前世代のUltegra6800か3世代前のDura-Ace7800のトリプルクランクを探すことになります。

フロントディレーラー台座はヤスリで削る加工しています。フロント変速部には大きな力がかかりますのでパーツやケーブル類の取付にはトルクレンチは必須です。

ギア比の表を眺めながらフロント変速が必要かどうか検討してみてください。不要なら左STIレバーを内装変速用に使うと思いますが、フロントトリプルのレバーはDura-Ace7800かUltegra6800のトリプルレバーを探すか、オリジナルのTiagraレバーを使用することになります。

変速性能はチェーンの役割が大きいと思います。自転車においてホイールに次ぐ重要パーツですから、チェーンはDura-Aceを使用しましょう。

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